17世紀 part07
2020年9月16日17世紀 part08
2020年9月17日ライトを読み解く上で、用語の解説が「ライト=マンフォード往復書簡集」に書いてあった。有機的(organic)、統合的(integral)と造形性(plastic)について
ライトが最初に「有機的」(Oganic)という用語を定義したのは一九一四年である。彼は課題と必然的関係性を持たない形態を導入し適用するような設計過程を避難し、建物の必要機能から望ましい形が自然に合われれるという、彼の好んだ設計過程を記述する用語として用いている。
「ライト=マンフォード往復書簡集」 ブルース・ブルックス ファイファー (編集), ロバート ヴォトヴィッツ (編集), P140-141
ライトは自分の建築を有機的であるとする。しかし、必要機能からかれの多面体の平面図や、円は出てくることはない。環境との兼ね合いからも出てくることはない。彼の幼少期からの教育から、形を選んでいるように思える。
人間が実際にどう見えるかよりも、ライトは平面図上でプランを練っている。それはルネサンスの平面図のように。
統合的(integral)、完全性(integrrity) サリヴァン、ライトの用語。……「統合的」(樋口訳ーライトの自伝)「完一性」(遠藤訳ーライトの住宅)「完全性」(谷口訳ー各書)などとなっている。
「ライト=マンフォード往復書簡集」 ブルース・ブルックス ファイファー (編集), ロバート ヴォトヴィッツ (編集), P140-141
ライトの本は一人で訳していない。違う人が訳しているため、それぞれの訳語が少し違うことに気をつけて読まないといけない。
有機的とセットで使われるこの言葉は、有機的な建築の良さだとライトは思っていたのだろう。しかし、ライトの建築だけが建築物の答えでないのは明確だ。様々中でライトが選択し、形を作っていった。それでもライトは完全性という、なかなか、言えたものではない。
造形的(plastic),造形性(plasticity) サリヴァン、ライトの用語。….サリヴァンの念頭にはドイツ語のplastischがあったかもしれないが、これには「塑性的」に加え「三次元的、立体的」という意味がある。各訳者の訳語は「一体的」(樋口訳ーライトの自伝)、「プラスシティ」(遠藤訳ーライトの住宅)、「プラスティシティ・プラスティック」(谷川訳ー各書)「造形」(酒本訳ーエマオンソン論文集)
「ライト=マンフォード往復書簡集」 ブルース・ブルックス ファイファー (編集), ロバート ヴォトヴィッツ (編集), P140-141
訳者がカタカナで訳したくなるほど、訳しにくい語がplasticだ。
そもそも、塑性性(そせいせい)とは、
可塑性とも。適当な条件におかれた固体物質は,外力に対して破壊を起こさず連続的に形が変わり力をとり去ってもその変形が永久に保たれるが,このような性質を塑性という(また,このような変形を塑性変形という)。弾性に対する。一般に温度が高いと塑性は大きくなる。有機高分子化合物は特に塑性が大きいためプラスチック(塑性的)と呼ばれる。→塑性加工
百科事典マイペディアの解説
plasticの語源を調べるとギリシャ語のplastikos「形を作る」である。
plastic2 (1500-1600) Latin plasticus “of shaping”, from Greek plastikos, from plassein “to shape, form, plaster”
ロングマンビジネス辞典より
形を作る、つまり立体的に設計することを、プラスシティとするならわかりやすい。ライトの場合は、その時に有機的であることまで含めているだろうから、「必要機能から生まれ出る一体的な立体の形を作ること」とでも言うだろう。
ちょっと、一つの言葉に内容を込めすぎており、果たしてライトのこの言葉で誰か納得したのだろうか。